ベネッセの「英語マスター」という学習おもちゃです。電源を入れると最初はくっきりと画像がでるが、すぐに薄くなって行くという症状です。開いてみても部品は少なく、大きなCOBがあってICやトランジスタがいくつか、あとはチップ抵抗やコンデンサくらいです。可変抵抗器のような物はありません。オシロで観測しながら電源を入れたり切ったりすると、LEDの駆動端子で30Hzくらいの矩形波が最初は大きな振幅で、徐々に小さくなります。しかしその原因となると全く判りません。
あきらめようとしましたが、折角開いたので念のため半田ごてで少し溶かしてみることにしました。ちゃんと半田付けできているように見えて実は・・と言うケースはこれまでもたびたび経験しています。徐々に変化するというあたりはコンデンサーが怪しいと当たりを付けてみました。
基板中央から右下寄りのオレンジ色の箱状、その左の丸いの、さらに左下の箱状がそれぞれ、コンデンサとコイル(丸いの)です。あとは小さいのであまりさわる気になりません。念のためこのコンデンサ2個の両端のハンダを溶かしてみました。すると治りました。電源投入後時間が経っても画面は濃いままで、くっきりと見えます。どちらが原因だったのかは判りませんが、治ったのでよしとしました。
実はこれでだめだったらあきらめてお返しするつもりでした。音声は正常だったので、COBの加熱ショックなどはやりたく有りませんでした。こういうものはおもちゃの顔をしていますが、普通の事務機器と同じで、われわれの手出しすることとは少し違うようにも思えます。
この「ことばずかん」の記事は2017.11.26の日付けで報告した内容とほぼ同じです。読めなくなったということで持ち込まれました。先端をデジタルカメラでのぞきますと赤外線が出ていない。時間がかかりそうと言うことでお預かりしました。赤外線が出ていないのは ①先端のLEDが壊れている ②センサー部のハンダ外れなど、LEDへの配線が途切れている ③LEDの駆動部が動作していない。このどれかとなります。
LEDは2個あるので①は簡単に除外できます。②はLEDと駆動トランジスタ間の導通をテスタで計れば判ります。③はテスタだけではわかりにくいかも知れません。駆動トランジスタの端子をオシロで見ればすぐ判ります。今回は③もダメでした。こうなるとその前段の画像処理ICの動作です。まず水晶の発振をオシロで確認すると発振が確認できました。すると困ります。再度駆動用のトランジスタをオシロで見るとこんどは波形が出ています。あれ?先端をカメラで見ると赤外線が出ている。先端を本に押しつけると読みます。正常動作です。???
なんでということでもう一度ルーペであちこち見ると、水晶の根元がおかしい。ピンセットでさわると足が1本折れています。どうもオシロで確認したときにプローブの先端で押さえて、切れていた足が一時的に接続状態になったようです。
原因さえわかればあとは簡単、前回の症例と同じく別の水晶を取り付けて発振を確認、正常動作まで確認して完了です。
どうようえほんという音楽系のおもちゃです。歌とカラオケが30曲仕込まれています。選択は5行、6列のスイッチを押すだけ。メンブレンスイッチと言うそうです。最下行の6曲が鳴ると言うことですので、間違いなくスイッチの配線不良でしょう。
開いて調べましたが、目視や光の透過でも切れたところは発見できません。そこで、接点がついたシートを外すことにしました。ドライヤーで暖めながらゆっくりと剥がします(写真下)。
印刷配線部分が露出しましたので導通をチェックすると、各行の横方向に走っているパターンがほぼ全滅です。縦のパターンと交差している部分で切れているようなのです。こうなるとかなり面倒な補修が必要です。そこで、極細の銅線をパターンに沿わせて接着剤で所々固定し、パターンの上で導電性接着剤を使って銅線とパターンの導通を図りました。設置した銅線は計5本。その上から外してあったスイッチ接点がついたシートをかぶせて固定。配線は基板から直接極細銅線に接続しました。
元に戻してくみ上げると全部正常に鳴るようになりました。このおもちゃは細かい作業の連続で何度もあきらめそうになりました。原因がはっきりしていて根気さえ有ればそれほど難しい修理とは言えないのですが、その根気が年とともに払底しつつあります。
ビルドドライバーの故障はボトル検出のスイッチ接点不良でした。小さいスイッチで、構造も判らないので迷っていましたが、どうせ動かないのなら分解してやれとレバーを抜いてみました。レバーは一体型の支持棒でケースに止められています。ケースを少し横に広げると抜けました。中を覗くと下の写真の様に接点が見えます。すごく汚れていまして接点不良の原因となっていました。アルコールで洗浄して、さらに細い刃で汚れを取ると導通が復活しました。
早速バラックのままでボトルを入れて見るとしゃべり始めました。組み上げて修理は完了です。
ところが、くみ上げると何となく動作が不安定です。スイッチを再度調べるともう一方のスイッチが1個粘っていて押さえると戻りが少し遅いのです。こうなると正常な信号が出ないことになります。外してアルコール洗浄しました。粘っていたレバーの動きが軽くなり、くみ上げ後の動作も安定しています。
簡単そうなので回路図も起こしておきました。
スイッチの問題はひとまず解決ですが、名称など情報があったら是非教えて下さい。
写真1
仮面ライダーの変身ツールでビルドドライバーというおもちゃ(写真1)があります。今回持ち込まれた症状は電源スイッチを入れると音がでるが、ボトルを差し込んでも反応しないというものです。
ボトルとは写真1の左側に2個有る縦長のものです。これを青矢印の位置に上から差し込みます。2個の差し込み口があり、ボトルは2個入ります。ここにどれを入れるかの組み合わせで、いろんなことをしゃべるらしいのですが全く反応しないと言うことで内部を点検するとボトルの差し込み口それぞれについているスイッチ3個の内1個が(写真2)導通していません。接点不良のようです。
スイッチは1個づつ分解でき、写真2の青矢印は2個連結の状態、赤矢印は単体の写真です。三角のレバーを押している間だけONになります。
写真3のボトルの裏にあるキーを見ると、差し込むときにON/OFFで信号を作っているようです。1個のスイッチが常時OFFではダメと言うことになります。
こんなスイッチは部品屋さんでも見たことがないので、困っています。
どなたか部品の名前とか入所先などご存じでしたら、是非お教え下さい。コメントでも問い合わせ欄への投稿でも結構です。
写真2
写真3
写真1 写真2
アンパンマンレジスタにはいろいろな機種がありますが、この機種はスキャンで商品を読み取って価格と商品名をしゃべるというのが特徴です。持ち込まれた症状は商品をレジスタにかざしても反応しないというものです。
このレジスタの分解手順は他機種とほぼ同じですので、参考資料にしておきます。記事の最後に掲載します。当然組み立て手順はその逆を行えば良いと言うことです。
正面から見ると表示部の下に緑の四角い窓が見えます。そこからレーザー光が出てバーコードを読み取っているという動作を模しています。実際はこの窓の内側にループアンテナがあって、13.56MHzの電波を使ったRFIDで商品情報を読み取ります。反応しないということで、最初はRFIDのモジュールを疑いました。13.56MHzの水晶が発振していないのでこれはダメかもと思ってしまいました。しかし外して調べると水晶は正常、他の水晶を取り付けても同じです。
結果から言いますと、読み取り動作の起動はRFIDモジュールに商品を近づけることでは無く、台の下部から、表示部の下に赤外線が照射されていて(写真2)これを遮ることで商品がかざされていると認識し、その後RFIDが起動されて情報を読み取るしかけです。
今回はこの赤外線強度が不足していて起動しなかったのです。県西おもちゃ病院のブログに他メーカーですが、ほぼ同じような症状が報告されています。そこで、赤外LEDの電流を測定、少し増やすと動作を始めることが判りました。測定結果は次の通りです。
① 現状 20mA 動作NG
② 閾値 26mA これより多い電流値で動作する
③ 設定値 32mA LEDの電流制限抵抗を120Ω → 120Ωに220Ωを並列追加(写真3)
これで安定して動作します。
ハンディスキャナには単にスイッチがついていて、商品に押し付けるとランダムに価格をしゃべります。商品名は言いません。このレジスターの動作仕様は以下のようです。
1.レジスタの表示部下に物を入れて赤外線を遮ると、RFIDの読み取り動作が起動される。
2.おもちゃ付属の商品にはRFIDのタグが埋め込まれていて、情報の読み取りが成功するとそれに対応した価格と商品名をしゃべる。
3.手で赤外線を遮ってもRFIDが起動するが、情報は読み取れないので、この場合はランダムな価格だけしゃべる。
写真3 赤外LEDの電流制限抵抗、 写真4 RFID基板とループアンテナ(矢印)
分解手順
アンパンマンあいうえお教室です。しばらく前の事例(2016.6.11の記事をご覧下さい)と同じでした。
最初、電源の断線で同僚Dr.が担当したのですが、その後キーの調子が悪いと再入院したものです。キーのタッチが不安定で、これは面倒そうだと放置して他のおもちゃを先に修理していました。さて取りかかったのですが、やはり「え」の行が不安定です。フィルムには前例と同じようにへこみがあって、これかと思ったのですが動作する時もあって静電容量方式の感度の問題かとも思いました。
おもちゃ病院 新津(新潟)のブログで拝見した探査針のやり方で念のため通電を見ると、ほぼ断線状態でした。そこで前回と全く同じくフィルムに導電テープを貼って、そのテープに極細エナメル線で基板から直接配線したところ「え」行の動作も安定しました。
写真の矢印はテープから基板への極細線の配線で、セロハンテープで固定しています。元の線の上をできるだけなぞっていますが、ややこしいところは直角に他の配線と交差するようにしました。このバージョンはまだメーカーの設計が古いときの物のようです。
前回の開院日に続いて見かけがそっくりなあいうえお教室が来ました。違いは製造時期で、こちらの方が年代が前の製品です。中身の違いはタッチキーの方式で、前回のは静電センサー方式。この製品は圧力による接触でフイルムの接点がONになるというもの。フィルム印刷した配線が切れていたりすると面倒なので余り好きなものではありません。
症状は電源を入れてもボツボツという小さな音がスピーカーから聞こえるだけというもの。お預かりしてじっくり見てみましたが、目視では異状は発見できない。COB不良となるとあきらめざるを得ません。ドライヤーで熱風というショック療法も試す必要ありかとCOBをさわりながら電源を入れたり切ったり。するとなんの拍子か、音声が出て動作がスタートしたのです。
しかしその後も不安定で、COBあたりの基板を指で挟んでいると起動することが多いのです。そこで当たりを付けて電源回路部分にパスコンを追加することにしました。基板の電池がつながっている端子に47μF。するとかなり安定します。次にCOBの直近にある電源のパスコンに並列に0.1μFを付けるとさらに安定しました。このパスコンが容量抜けだったか、ハンダが内部で外れていたのかも知れません。
修理完了と蓋を閉めて最終テストをすると わいうえお の列だけが反応しません。動作すれば修理完了と思ったのは早計でした。列が反応しないのは明らかにこの列の通電が途切れているからで、順に追いかけるとありました。フィルムの一部に衝撃によるへこみがあり、そこから先に導通がないのです。そこで、基板から直接極細の線を引き出し、フィルムに導電性塗料(ワイヤーグルー)で線を固定しました。裏蓋を閉めて動作チェックすると わいうえお の列もOK。修理は完了しました。
ところが後日再度テストすると起動しない。愕然としました。またケースを開けてチェックするも原因不明。何度かテストする内に起動し始めました。蓋をして時間をおくとまた動作したりダメだったり。いろんな事をしてみましたが効果無し。ふと思いついたのが電源電圧を変えて見ることです。元々電池3本なので規定は4.5Vとなります。ところが、これだと不安定なのです。少し上げて5Vだと完全にダメです。電源スイッチを切ってもLEDが点灯しています。
そこで電圧を変化させて起動の様子を調べました。
5V NG
4.5v NG
4.4V 起動するも動作不安定
4.2V 起動するも動作不安定
4.0V 起動し動作正常
2.5V 起動し動作正常
2.0V 起動するが音声のピッチ(周波数)が下がる。動作は正常
1.8V 起動するも動作不安定
1.6V NG
つまり2.5V〜4Vが正常動作範囲となります。この結果から電池を1本減らすことにしました。設計からは外れますが、仕方がない。原因はCOBの樹脂の下に隠れている?安定化電源の故障かもしれません。パスコンも異状はなかったのかも。こんなケースは初めてです。
写真はフィルム上の印刷配線の切れた部分の先でエナメル線を黒い導電性塗料で固定したところ。乾燥してからセロハンテープで被覆。
下図は電源部分のみを書き起こしたもので、LEDやタッチセンサーへの配線は省略しています。
re:アンパンマンはじめてのあいうえお教室 難儀しました 2017.12.9 Nさん 1/27(土) [編集]
大泉様
電圧を変えると動作と言うケースが何度かですか。これからはそれもCOBがNGと言う判定の材料に入れなければなりませんね。延命できればいいというおもちゃ病院的・・結構好きです。
re:アンパンマンはじめてのあいうえお教室 難儀しました 2017.12.9 つつじが丘おもちゃ病院 大泉茂幸さん 1/26(金) [編集]
大泉です。
電源電圧を変えると動作したケースは僕も何度か経験しています。元々LR44が2個だったのですが、BORが頻発する状況で、LR1130を3個に変えました。別のおもちゃではゲートの閾値がズレているようで、嵩上げしたり落としたりして合わせ込んだこともあります。根本的な原因解決ではありませんが延命できればいいと思ってやってます。こういうところがおもちゃ病院的ですよね。
ことばずかんのタッチペンが動作しないとのこと。起動音声は流れますので、スピーカー関連や、音声作成部分は正常。驚いたのは、「分解したら先端が外れました」というお話し。えっ、分解したの?と驚いたのです。この分解はなかなか決心が要る作業です。なれれば平気なんですが、ネジを外しただけでは取れてくれません。
先端と言うことはイメージセンサーです。持ち帰ってケースを開くとなるほど外れています。まあ、これだけならと半田ごてを当ててみましたが、ハンダがほとんど乗っていないので、思うように付いてくれません。どうももともとほとんどハンダが無いような状況で、力がかかったらぽろっと外れたと思われます。なんとか付け直しましたが、先端から赤外線が出ていません。基板上のLED駆動のトランジスタにも信号が来ていません。こうなると画像処理のICが動作していないことになります。
我々が触れるのはICの外部ですから水晶が発振しているかを確認。すると信号無しです。音声処理のICの方は別の水晶がしっかり発振しています。このタイプは水晶が2個あって、画像処理用の16MHz水晶が止まっています。試しに手持ちの10MHzを付けてみました。するとあっさり発振し、赤外線も出て来て、絵本を近づけると読むのです。発振子のサイズは大きいですが、ケースには納まるのでこれを使うことにしました。おそらく周波数が下がったので画像処理のスピードが落ちているでしょうが、使った感じではわかりません。
アンパンマンカラーパソコンスマート、2016年12月10日の記事と同じ機種です。今回は画面では無く、キーボードにいくつか反応しないキーがあるとのことで持ち込まれました。
まず予想するのはキー自体の接触不良、これは開いてみてほこりも入ってないし印刷配線も見た限りでは正常。次に予想される原因はキーボードと本体基板の配線不良です。
本体基板は表示部の裏にあるため、前面パネルの隠しネジを全部取り去ります。下の写真は磁石でネジ位置を検索し、セロハンテープを貼ってマジックペンで印を付けているところです。全部検索したらドライヤで暖めながら金属ヘラを画面のマスキングシートの下に差し込んでゆっくり剥がします。ネジさえ外せばいいのでできるだけシートの剥離は少なくなるようにします。ネジを全部外すと、上部カバーがとれます。
下は本体基板と、キーボード接続部の写真です。順に導通を見ていくと、赤い矢印の部分だけ導通がありません。緑の線ですが、これ自体は正常で、キーボーとの接触部分が十分に接触していない事がわかりました。この部分はフィルムに印刷した導電インクと基板を半田付けでは無く押しつけているだけです。
そこで、導通が無い部分に導電性の塗料をほんのわずかに塗布してみたところ正常になりました(写真下)。これですべてのキーが正常動作しました。
2.4GHzの同じ機種のラジコンが2台。これは偶然です。右側の車を担当したDr.からダメの様だがとセカンドオピニオンを依頼されました。
送信機は右側が正常です。どうも異常と思われる送信機からは電波が出ていないようです。正常な方の送信機では電波検出器でちゃんと確認できます。
2.4GHzは当地ではみんな未経験でして機械の中身を見るのも初めてです。送信機にも受信機にも基板の上に無線モジュールが小亀のように乗っています。しかも型番も同じ。XQ-24G-01となっています。相互通信しているのかと思いましたが、受信機側からは全く電波が出ていません。
久しぶりに押し入れからスペアナを引っ張り出して見てみました。下の写真がその測定画面です。上から正常な方の送信波スペクトラム。2.4GHzセンターで、約5秒の蓄積画像です。周波数ホッピングで150MHzくらいの範囲でいろんな所に出没しています。2番目は基準発振用の水晶(16MHz)の筐体に漏れてくる信号。発振が確認できます。3番目はNGの方の送信機で、10秒近く蓄積しても全く信号がありません。中心の少し上にひとつ出ているのはWiFiの電波を拾ったものです。4番目はNGの方の水晶筐体からの漏れです。つまり、クロック発振はしています。
この結果からCOB封止樹脂の内部の何かがダメになっていると判断しました。小亀の各端子の電圧は正常な物と同じでした。
こうなると、我々には全く手が出せません。オーナーさんに説明することにします。今回は同じ機種で比較ができたのでラッキーでした。
当ホームページをご覧になって同じ症状では?とお送り頂いたものです。
電源が入らないということで、点検してみるとスイッチのFET Q2(おもちゃ病院新津に掲載されている回路図を参照)の以降に電圧が来ていません。FETの足をオシロのプローブでさわると衝撃によるものでしょうか、電源が入りました。極めて不安定です。
スイッチの前段のFETで見るとちゃんと電源スイッチに同期した電圧変化になっている。スイッチのFETを外して見ました。すると基板のゲートのパターンへの電圧が不安定です。
まさかコンデンサC8がと思いましたが、交換してみました。すると安定します。それならと全部元に戻す段階でQ2の足を折ってしまいました。チップのFETは持っていません。仕方が無いので大きいですが手持ちのパワーMOSFETを取り付けました。
写真の赤矢印の先がそのFET。水色矢印の先はコンデンサです。取り外した元のチップ型のを黒いICの上に乗せています。どちらも長辺3mmというものです。取り付けたものは巨大です。
それにしてもこのモデルはコンデンサがよくおかしくなるのでしょうか。お送り頂いたオーナーさんの予想がずばりだったという結果でした。
仮面ライダードライブドライバーというおもちゃです。仮面ライダーの名は知っていてもテレビの放送は全く見ていないので、これがどんなものなのか想像も付きません。電源スイッチを入れると音はするが、丸い正面の部分が光らないという症状だそうです。
分解すると回転体があり、LEDが10個付いています。回転しながら光って画像を表示するという仕掛けで、バーサライトというそうです。初めて見ましたが、うまくできています。おもちゃにはいつも感心させられます。これはモーターの軸に回転体が直接固定されていますが、本体との間は非接触です。写真の様にコイルがあり、ケース側の固定コイルとの間で磁気によるエネルギー伝送をしています。それ自体はありふれたもので、我が家のコードレスホン子機も充電器との間は非接触です。測定すると56KHzの電流を流していました。
回転体の基板に特に目で見える異状はありません。
モーターの配線を切って動かないようにし、基板の電圧をみたところ、基板には正常に供給されており、基板のレギュレータも問題なし、COBまで正常に届いています。基板の端には位置検出用のフォトトランジスタが接続されていて、これが故障かと思いましたが、正常のもよう。照射用の赤外LEDもデジカメで見ると光っている。
回転体のCOBが不良かと思いましたが、念のため位置検出の線に別途信号を作って入れて見ました。信号はON 1ms(LOW)、OFF 20ms(HIGH)のパルスで、マイコンICを使って作りました。すると、回転体のLEDが光りました。これで原因は位置検出の信号が正常に入っていなかったということがわかりました。フォトトランジスタの受光側は良さそうなので、照射側の赤外LEDを疑いました。位置を鋭く検出できるように半開き窓が付いたケースに入れてあります。どうも光軸が少し窓の閉じた方に寄っているようなので、一度ハンダを外して付け直して見ました。すると回転体のLEDが光り出しました。検出限度ぎりぎりの所だったようです。
写真は回転体の裏側のコイルと上端にPT3と書いてある部分がフォトトランジスタ。基板の表側にはCOBとLED10個。左側には電源部がある。コイルの電流を整流してレギュレータを通じてCOB他に供給している。上端のPT2は裏のPT3とつながっているが部品は乗っていない。TR1と表示があるところは、コイルからの電圧を別途検波してその信号をスイッチしてCOBに入れている。これが、外部との赤外通信の受信情報を固定部から受け取るしかけだろう。
回路図を起こしてみた。回転体側のレギュレータは5ピンの3.3V用と思われる。ところが、他でよく見るものとピン配置が違うようでよくわからない。
re:仮面ライダー変身ベルト ドライブドライバー 2017.8.27 Nさん 9/11(月) [編集]
お返しするときに、付属の車を持ってきて下さいと頼んでおきました。それがないと写真のように輪が出るだけで、もう一つおもしろくない。というより動作確認ができないのです。ちゃんと持ってきてくれました。私はどうすれば良いのかわからなかったのですが、持ち主であるお子さんはすぐに動かしてくれました。するといろんなもようが出てきて、「おーっ」と言う感じでした。よかった。
BAKUSOU BIKEという仮面ライダーのベルトに付けるアダプタです。ベルトに差し込んだり、レバーを押すと光って、いろんな音も出るというおもちゃです。子供がジュースをかけてしまって、その後光るが、音が出なくなったというお話しです。
原因がわかっているので、腐食による配線切れを予想して内部を調べましたが、目立った故障箇所は見えません。そこで、拡大鏡でよく見ると、プリント基板の一部に緑青が出ています。(写真の赤矢印の先。写真はすでに掃除した後)。お預かりしてよく調べると基板のスルーホールが切れて、基板の裏表のパターンに導通が無いことがわかりました。テストでつないでみるとちゃんと音も出るし、光も強くなりました。そこで、細めの線を入れて半田付けし直し、完了となりました。
基板のパターンは緑の保護塗装で守られていますが、スルーホールの中までは守られていないので、ジュースで溶けてしまったと言うわけです。基板はガラスエポキシで、高級品です。
エルモは2回目です。前回は電池ホルダの接点が錆びていたと言う内容でした。今回はすぐにわかりました。動かすと寝るところまで行くのですが起き上がらない。モーターが空回りしています。明らかにピニオン割れの症状です。
分解すると案の定足を動かすモーターに付いているピニオンギアがひび割れしています。このギアは0.6モジュールの8枚歯です。しかも長いギア。モーターの軸のかなり先で次のギアとかみ合っています。
このギアはよく割れるらしく、他のおもちゃ病院の修理例を拝見すると症例がたくさん出て来ます。結構力のかかるところでもあります。0.5モジュールはギアの予備もそこそこありますが、0.6はまったくありません。仕方なくひび割れしたギアを縛るという修理法でいくことにしました。根元部分にステンレスワイヤを巻いて縛り、ほどけて来ないようにエポキシで固めました。
テストすると足腰はしっかりしましたが、まだ空回りの音がします。残りは腕のモーターです。こちらも開いてみると、同じようにひび割れです。また縛って固めました。今度は調子よく動きます。ちゃんと立ち上がってから止まります。
ラジコン用RFチェッカーを改造しました。これまで100均のボリウムアンプに、赤外線センサーを追加したツールで低周波、赤外線、無線チェッカーとして使っている物です。そこに今回つつじヶ丘おもちゃ病院の大泉様から頂いた3GHzまで検出できるLT5534を乗せた検出モジュールを追加しました。100均アンプの内部は極めて狭いので赤外線検出モジュールは外に出していますが、このRFセンサーはものすごく小さいので収縮チューブで保護して、ケースの内側に貼り付けました。
このモジュールは電波の強さを対数変換して直流で出力すると言う仕様です。要はAM検波器と言えます。
おもちゃ病院ではまず受付でこれを使って電波の具合をチェックします。これまでは100均アンプの非直線性を利用した検波でしたが、LT5534を使うと周波数帯が3GHzまでに広がります。
ラジコンの方式は単純にパルスの数を読んで制御するというものが多く、送信機の電波をAM検波してスピーカーで聴くと、変化の具合などでけっこう様子がわかります。2.4GHzのラジコンはかなり複雑な通信をしているようです。しかし、電波が出ているかどうかはわかりますのでそのチェックはできるはずです。これまで2.4GHzのラジコには遭遇していませんのでまだ未知数ですが、ブルートゥースのマウスを近づけたりすると電波が出ているのがはっきりわかります。
回路図を添付します。入力部に切り替えスイッチがありますが、これは無線センサーと低周波・赤外センサーの切替です。無線センサーが高感度のため浮遊するいろんな電波を実によく拾います。電波の検出をしようとするとき以外、はっきり言ってうるさいのです。このくらい電波がうようよしているのかと驚くほどです。おもちゃの楽器とかの低周波部チェックの時には邪魔です。
無線センサーの出力は可変抵抗を通さずにアンプに入れています。LT5534は60dB(電圧で1000倍)の圧縮効果がありますので、アンプ側では固定のゲインで問題ないようです。
まだこれからいろんな場面で様子を見ながら必要な改造を加えたいと思っています。
高性能のRFセンサーを提供して頂いたつつじヶ丘おもちゃ病院の大泉様にお礼を申し上げます。
このセンサーモジュールに付いての情報は次のところをご参照下さい。
http://tutujith.blog.fc2.com/blog-entry-203.html
http://tutujith.blog.fc2.com/blog-entry-200.html
回路図と、今回頂いたLT5534使用モジュールの特性測定結果です。仕様は50MHz以上と言うことになっていますが、10MHzでも平坦です。上はSG上限の2GHzまで入れてみましたが、わずかに感度が低下しています。
最近修理件数が多かったので、それに伴って修理できなかったものも増えました。
1件目は「ことばのずかん」です。アンパンマンことばずかん とは別物です。ことば ”の” ずかん です。メーカーはベネッセ。なんでこんな似たような名前を付けるのでしょうね。
アンパンマンのとほぼ同じような造りのペンです。スタートメッセージが出てそれ以後動かないという症状。赤外線が出ていません、しかし水晶は発振しており、イメージ処理のLSIは動作しているようです。しかし、LED駆動の信号が出ておらず、周辺を調べるとコンデンサのいくつかで短絡状態が出ています。外して単体で調べると異状なし。つまり、LSIも含め電源回路までのどこかで短絡しているようです。しかし、発振はしているので、LSIはたぶん大丈夫なのでしょう。大きめのチップは外していくつか点検しましたが、小さいのは手に負えません。やむなく修理不可でお返ししました。
2件目はカラオケセットです。こちらはCOBの横の水晶(4MHz)が電源ON後約1秒で発振が止まります。いろいろ振動子も交換してみましたが症状は同じです。しかし、何度かやっているとたまに発振が止まらないことがあり、そのときにCOBのあちこちの端子を見ました、でも全く信号無し。外部の発振回路で強制的にクロックを注入しても変化無し。全部品のハンダ溶かし直しも効なし。これも修理不可としてお返しします。
コメントに気づかず、放置するケースがありまして、しばらくコメント機能を停止していました。コメントがあればメールで通知されるように設定できたので、気づかないということは無くなります。そこで、コメント機能を復活させました。
これまでのようにご意見をお待ちします。
ランドクルーザーのラジコンカー。前進後退が動作しないという主訴です。左右のハンドル操作は動作します。ラジコンモニターで変調の具合を聞くと、ちゃんと変化していますので送信側はまず大丈夫でしょう。車体を分解して制御基板を露出させます。検査手順通りに基板の電源供給を点検、OK。前後の操作電波を送ってモーターへの供給電圧変化を点検、OK。ということは基板以降モーター側の故障です。
ここまではモーター駆動のHブリッジ故障を予想していました。Hブリッジは2SB772、2SD882というトランジスタで構成されています。ハンドル操作はTC117です。しかし予想が外れました。次はモーターへの配線、OK。モーター自体か?しかたないので、モーターが入っているギアボックスを分解。すると、モーターのピニオンギア付近に大量のゴミが詰まっているのが見えました。
ギア全体を分解するとボックス内はさらに大量の砂ゴミで固まってしまっています。動かない直接の原因はモーターのピニオンギアに噛み混んだ砂ゴミでした。モーターだけ外すとちゃんと回ります。
仕方ない、大掃除です。ギアボックスやギアを水洗いしましたが全く取れない。要はグリースと砂ゴミが固化していたのです。そこで灯油と歯ブラシで洗浄。乾燥させてウエスでさらに残りのゴミを取り除いて終了。あとはグリースをギアに塗って組み立てました。
モーターの次のギアがかなり砂で削られています。いつ完全にだめになってもおかしくない状況です。全く防塵対策などはなさそうなので、できれば屋外では使わない方が、というアドバイスは付けてお返しすることにします。
ラジコンカーが動作しないと持ち込まれました。電池容量が不均一に無くなっています。新しい電池を入れると、後退だけダメで、前進とハンドル操作はOKです。こうなると故障箇所はすぐに特定できます。モーター駆動用のHブリッジしかありません。すぐに視認できました。6個のトランジスタの内1個が破裂しています。封止材から完全に飛び出してはいませんが、丸く膨らんでいます。交換してすぐに正常に動作しました。破裂の原因が他にあったということではなさそうです。
基板を見てあれ?制御ICであるRX-2Bの場所が穴あきになっていて、ハンダ付けはパターン面です。なんのための穴なのか。
①DIP型ICのつもりで設計した基板にSOPを実装するために穴を開けてひっくり返した。
②昔はでかいDIP型用だった基板の設計をIC部分のサイズだけ縮小してSOPに使えるようにした。
③基板を薄くしたかった・・・これは無い。
さて・・・。